電車の遅れ

 今日、電車が止まった。遅延はよくある。線路で異音がしたための点検、線路に野生動物がぶつかってきたため、お客様対応。でも電車が止まるのは、天気がよっぽどの悪天候か「列車がお客様と接触したか」である。今日は、後者だった。

 運転していた車が、ということはよくある。夕方のニュースを見れば大抵がそうなのだが、今日はどうも身一つで列車に飛び込んでいったらしい。飛び込んだ人にとって、今日はめでたい正月でも何でもないのかもしれないなぁと思った。祝日とは国民ではなく世界中の人がお休み出来て、なんだか浮足立つ日なのだと思っていた子供の頃と比べて、今はそうでもないことが良くわかる歳になった。人身事故の当事者となった電車の運転手は今日も働いている。今日私が並んだドーナツ屋さんも働いている。今日線路に飛び込んだニュースの人にとって、今日はどんな日だったんだろう。

 ニュースを見ていた家人は、無責任な自殺と賠償金が大変だと話始めた。確かに、あの人の責任を負う人はいるのだろうか。なぜ、線路という場所を選んだのか気になることはたくさんあるが、当事者でも何でもない私には関係ないし、考えたら今日の初夢に悪影響を与えそうなので、もう本を読んで終わることにする。